建築ジャーナル
2000年11月号

 

 

 

建て主から「住まい方」を引書出す

金 昌 秀さん(秀翠一級建築士事務所所長/大阪市生野区)

 

 東京の設計事務所で研鎮を積み、地元に戻って事務所を開設して12年。不景気で仕事量が減ってはいるが、建て主の立場に立った設計を行なっている。

 建て主はいつも明確な生活プランを持っているわけではない。そこで私は彼らに「なぜ家を建てたいのか」「子どもの教育のあり方は」などの問いをぶつける。住まい方に対してあらためて自問していただくのだ。その過程でたいへんな夫婦げんかをした人もいる。異なる住まい方を持つことが判明し、互いに譲らなかったからだ。 子どもの意見も入れ、そうした議論を重ね設計に立ち会った家族は、今後家庭内に起こった問題もうまく乗りきっていくだろう。設計者とは建て主の考えを引き出し、住まい方を形づくる手助けをする役割にあると思う。しかし一般には、設計事務所に設計料を払うのはもったいないという感覚が根強くある。東京と比較しても大阪はとくにそうだ。それは設計者の努力不足にある。設計事務所自身が設計事務所の存在意義、利用するメリットを広く訴える必要があるのではないか。

 人間は「集団」あっての「個」。その「個」と「集団」を有機的にコミットさせるのが建築だと考えている。だから私は設計者として建築にかかわることはすべて理解するように努めている。住宅だけではなく、マンションやビルも手がける、建設コンサルタントもやる。

 私は自分はだれのために、どこを向いて設計をするのか、建築を通してどう社会と向き合っていくかをつねに自問しながら設計業務を今後も続けていく。

 

 

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